1. 乳がん検診の内容と検診の種類
4. 乳がん検診は何歳から?年代別の検診の種類と頻度
6. 当院の乳がん検診の4つの特徴
7. 検査で判明する乳がん以外の異常
8. 乳がん検診の結果について
9. 精密検査について
10.精密検査の方法
乳がん検診の方法には以下の3つがあります。
ここでは、それぞれの検査内容と特徴を紹介します。
※視診・触診は検診として実施することは推奨しないという厚生労働省の通達により、当院では視触診は実施しておりません。(自己触診は推奨しています。)
問診では、これまでに乳房の病気にかかったことがあるか、妊娠・授乳の経験の有無、現在の自覚症状の有無などについてお尋ねします。
マンモグラフィは乳房専用のX線装置のことです。乳がんの初期症状の一つである「石灰化」の描出に優れています。比較をすることが重要な検査であるので、当院では左右ともに2方向から撮影をし、合わせて4回撮影をします。
病気があった場合に見つかりやすくするため、プラスティックの板を使用し、乳房を均一の厚みにした状態で検査をします。
乳房を均一にするため検査の際の痛みを心配される方もいらっしゃいますが、以下の2つを実践するだけで、検査時の痛みはずいぶんと改善されます。
乳房にプローブとよばれ器械をあて、そこから出る超音波が戻ってくるまでの時間を画像に表します。乳房とプローブの間に空気があると超音波は戻ってこないため、画像として表示できません。そのため、空気が入らないようにし、滑らかに操作するために乳房にゼリーをのせて検査をします。
マンモグラフィと異なり、良性・悪性に関わらず、しこりになった病変を見つけることが得意な検査です。 自己触診では見つけることができない小さなしこりも画像に描出されます。また、病変の形状だけではなく、病変の硬さや病変に入り込む血流の有無もわかるため、より高度に診断が可能です。
検診は基本的に自覚症状のない方が対象のため、保険適用ができませんので自費診療となります。検診でお申込みをされた場合でも、自覚症状がある場合や精密検査の対象になった場合には、保険適用となる場合もあります。
検査項目 | 問診・マンモグラフィ・乳腺エコー |
料金 | 13,000円 (税込み) 名古屋市検診(無料クーポン)+乳腺エコーの場合:4,950円(税込み) 名古屋市検診(500円)+乳腺エコーの場合:5,450円(税込み) |
所要時間 | 20分 |
結果説明 | 検査当日は画像を表示し医師より口頭で説明します。結果表は1週間程度で通知します。 |
検査項目 | 問診・乳腺エコー |
料金 | 5,200円 (税込み) |
所要時間 | 15分 |
結果説明 | 検査当日は医師より画像を表示し口頭で説明します。結果表は1週間程度で通知します。 |
検査項目 | 問診・マンモグラフィ |
料金 | 7,700円 (税込み) 名古屋市検診(無料クーポン):0円 名古屋市検診(500円):500円 (自己負担額) |
所要時間 | 5分 |
結果説明 | 検査当日は医師より口頭で説明します。結果表は1週間程度で通知します。 |
女性特有の病気を一度に検査でき、精密検査も可能なためおすすめです。
検査項目 | 問診・乳腺エコー+子宮がん検診(子宮頸部細胞診)+婦人科エコー |
料金 | 9,450円 (税込み) |
所要時間 | 30分 |
結果説明 | 乳がん検診と婦人科エコーの結果は当日に説明します。子宮がん検診(子宮頸部細胞診)を含めた結果表を1週間程度で通知します。 |
検査項目 | 問診・マンモグラフィ・乳腺エコー+子宮がん検診(子宮頸部細胞診)+婦人科エコー |
料金 | 16,500円 (税込み) |
所要時間 | 30分 |
結果説明 | 乳がん検診と婦人科エコーの結果は当日に説明します。子宮がん検診(子宮頸部細胞診)を含めた結果表を1週間程度で通知します。 |
検査項目 | 問診・マンモ+乳腺エコー+子宮頸部細胞診+婦人科エコー+HPV+採血(貧血+CA125) |
料金 | 33,000円 (税込み) |
所要時間 | 45分 |
結果説明 | 乳がん検診と婦人科エコーの結果は当日に説明します。子宮頸部細胞診・HPV・採血を含めた結果表を1週間程度で通知します。 |
乳がん検診は「対策型検診」と「任意型検診」の2つに分かれており、それぞれ検診の目的が異なるため、検診を受ける年齢やどの検査を選択するべきか異なります。
対策型検診と任意型検診の主な特徴は以下の通りです。
【対策型検診】
【任意型検診】
このように対策型検診はがんの早期発見を目的とせず、対象の集団全体の死亡率を下げることが目的なのです。
そのため、概ね2センチ以内でがんが発見できるように検診の間隔は2年に一度となっており、対象の年齢も40代以上とされています。
ここからは、任意型検診について説明します。
乳がんは20代後半より増え始め、40代後半と60代後半に発症のピークがあります。20代は乳がんを発症する割合も少ないです。
乳がん検診は必ずしも必要ではありませんが、症状がある場合には必ず乳腺外科へ受診してください。通常よりリスクが大きいと思われる方は25歳から乳がん検診を始めましょう。それ以外の方は30歳を過ぎたら1~2年に一度、40歳以上は1年に一度の検診をおすすめします。
20代でもがんを発症する方はいますが、まだ発症する割合が低い年齢です。乳がんのリスクのあると思われる、以下の方は25歳から乳腺エコーの検査を行うと良いでしょう。
20代から34歳までは、以下2つの理由より検査項目は乳腺エコー単独をおすすめしています。
35歳以降は、乳がんを発症する割合も急激に増え始めます。 乳がんの初期にできる石灰化はマンモグラフィで、腫瘤(しこり)は乳腺エコーで見つかりやすいため、マンモグラフィに乳腺エコーを併用した検診をおすすめしています。
ホルモンバランスの変化や授乳経験に伴い乳腺密度が低下することにより、マンモグラフィで病変の発見がしやすくなります。また、乳がんを発症する人数が多い一つ目のピークが45歳から49歳です。乳がんを発症する人が多く、乳房構成が高濃度である方の割合が高い年齢層であるため、マンモグラフィに乳腺エコーを併用した検診をおすすめします。
50代以降はさらに乳腺密度が低下してくるため、マンモグラフィは非常に有用になってきます。ただし、日本人は50代以降でも乳腺密度の高い方もいます。
マンモグラフィは必須ですが、乳腺エコーも併用して行っていただくことをおすすめします。
マンモグラフィと乳腺エコーの検査は女性技師による対応が可能です。
当院の女性技師は以下の認定を取得しております。
日本乳がん検診精度管理中央機構
マンモグラフィ撮影技術認定 A評価
超音波技術検査A判定
安心して検診を受けていただけるよう、検査前にご心配されていること、現在お困りになっていることなどをお聞きします。気になることがありましたら、事前に受付にて遠慮なくご申告ください。
以下のような「乳がん検診に関するよくあるお悩み・疑問」は当ページ後半でも説明を記載しておりますので、ぜひご覧ください。
・マンモグラフィ撮影時の痛みが心配。前回他施設で検査を受けたとき、痛みが強かったので検査をしたくない
・マンモグラフィの被ばくが心配
・豊胸手術をしましたが検査できますか?
「日本乳がん検診精度管理中央機構」における講習会および試験において、最高評価である「マンモグラフィ読影認定As」「乳腺超音波読影A」という評価を受けている院長がその場で診断をいたします。当日に結果をお伝えできますので、不安な気持ちで結果を待つ必要はありません。
また、適切に画像を判定することで「要精密検査」となる割合は少ないです。
「マンモグラフィや乳腺エコーの検査で異常が見つかった場合には、検査結果の説明に続いて精密検査を行うことが可能です。(後日にご案内をすることもございます。)
精密検査になったとしても、検診施設にくらべて受診する回数が少なくて済むことが、当院で検診を受けるメリットです。
精密検査の結果は、1次検診から約2週間で判明します。(内容によっては当日ご説明できる場合もあります。)
乳がん検診は乳がん以外にも見つかる異常があります。がんではない良性のしこりの場合でも、大きさ等によっては治療が必要な場合があります。
マンモグラフィの検査では、石灰化や腫瘤、局所的対象陰影(FAD)、構築の乱れなどの異常の有無を確認します。
石灰化:石灰化とは乳腺内にカルシウムが沈着した状態のことです。石灰化を認める病変には、乳がん、乳腺症、古い線維腺腫、のう胞、豊胸手術後の変化などがあります。石灰化の形状や分布を確認し、明らかな良性石灰化か精密検査の必要な石灰化かどうかを判断します。
腫瘤:腫瘤とはしこりのことです。腫瘍だけでなく、水が溜まっているもの、炎症性のものがあります。腫瘤を認める病変には、乳がん、のう胞(比較的大きいもの)、線維腺腫、過誤腫などがあります。腫瘤の形状や濃度を考慮して判断します。乳がんは硬くX線を透過しないため、マンモグラフィの画像上は白く写ります。
一方で、良性の腫瘤は柔らかくX線を透過しますので、マンモグラフィの画像上には写らない場合が多いです。実は、この画像に写らないということも、診断をする上で大事な情報です。
局所的対象陰影(FAD):明らかなしこりとは判定できないが、部分的に左右差がある場合に使用します。乳腺の組織は左右が全く同じではないため、正常の場合と病変がある場合のどちらも考えられます。
構築の乱れ:明らかなしこりは認められないが、乳腺の構造に歪みがある場合に使用します。乳がんのほかに手術後や良性の硬化性腺症、膿瘍、脂肪壊死などに認められます。
乳腺エコーの検査では、主に腫瘤を確認します。それ以外には乳管の異常、低エコー域、構築の乱れ、腫大腋窩リンパ節などの異常の有無を確認します。
腫瘤:腫瘤とはしこりのことです。腫瘍だけでなく、水が溜まっているもの、炎症性のものがあります。腫瘤を認めるものには乳がん、のう胞、線維腺腫、乳腺症などがあります。腫瘤の形状、辺縁の状態、内部の濃度などを考慮して判定します。
乳管の異常:乳管が拡張している場合に判定します。拡張した乳管の中に腫瘤があるか、乳管が狭くなったり広くなったりしていないかなどを判定します。乳管の異常の中には、乳がん、良性の乳管内乳頭腫などがあります。
低エコー域:腫瘤とは言えないが、周囲の乳腺とは異なる低エコーの領域がある場合に判定します。乳がんや良性の乳腺症にも認められる所見です。
構築の乱れ:乳腺内の構造が部分的に歪みやひきつれがあることです。乳がんのほかに手術後や良性の硬化性腺症などに認められます。
リンパ節の異常(腋窩リンパ節):乳がんが最初に転移する場所が、腋窩リンパ節のため形状やサイズを確認します。
乳腺の病気については、「乳腺外科」のページで詳しく説明しておりますので、気になる方は是非ご覧ください。
当院の検診メニューを受けた方は、当日に医師が画像を表示しながら説明し、結果表を1~2週間で通知します。
当院の場合、検診結果は「異常なし」、「精密検査」の2パターンです。
一次検診で経過観察という判定をすることはなく、がんの可能性を否定できない場合は精密検査をおこないます。名古屋市の乳がん検診の結果表も「異常なし」「精密検査」のどちらかしか判定できません。
他の施設において「経過観察」という結果だった場合、○か月後と具体的に指示がある場合は、その時期に再検査を行います。すぐに精密検査が必要という状態ではないことを踏まえると良性腫瘍を第一に考えますが、一定期間の間に大きさの変化や性状の変化がないかを確認をします。指示があった場合には、必ず再検査を受けましょう。心配であれば、結果表を持参の上で当院での受診をおすすめします。
「要精密検査」という結果が届いた方は不安な気持ちになると思います。
当院では「①予約が取りやすい」「②午後も予約が可能」という乳腺クリニックの利点を活かし、乳癌学会認定医の乳腺外科医である院長が、患者様にご納得いただけるまで丁寧に診察しております。
診察は土曜日17時、平日も18時まで受け付けています。希望の日時を合わせやすくスムーズにご予約が可能なため、不安な気持ちで待つ時間は少なくて済みます。
当院では、以下の診察に対応しております。
「要精密検査」という結果が届くと誰でも不安になることかと思います。検診を受けた方のおよそ6%の方が精密検査が必要と判定されます。しかし、実際に精密検査を受けた方の約95%は、精密検査の結果「良性」もしくは「異常なし」と判定されており、残念ながら5%の方にがんが発見されています。
初期の段階で発見できれば、9割以上で良好な経過をたどります。必ず、精密検査を受けましょう。
他院でマンモグラフィの検査を受けられた方は画像の入ったCD-Rをお持ちください。画像に不足がなければ、お持ちいただいた画像を診断します。ご持参できない場合には、必要に応じて当院で撮影を致します。
超音波で画像を確認しながら、病変部に採血と同じ太さの針を刺して吸引し、採取した細胞を顕微鏡で観察します。 乳頭からの分泌物を検査する場合には、プレパラートとよばれるガラスの板に分泌物をこすり付けます。
病変部にボールペンの芯ほどの針を病変部位に刺入し、長径0.5~1mm、長さ3~10mmの大きさの組織を採取します。検査前に局所麻酔をしますので、検査時の痛みはありません。
病変部に直径4mm程度の針を使用し、さらに吸引をしながら組織を採取します。針生検と同じように局所麻酔をしたのちに検査しますので、検査時の痛みはありません。
ここでは、乳がん検診に関するよくある質問についてお答えします。
基本的には乳がん検診は自覚症状のない方が対象ですので、検診は受けるべきではありません。 胸にしこりがある方は検診ではなく、当院への受診をお願いします。当院の場合には、検診で申し込みをされた場合でも問診をしたうえで、保険診療に切り替えることがあります。
検診の当日に精密検査を行う場合がありますので、保険証をお持ちください。
上半身を脱いだ状態で検査をしますので、上下セパレートの洋服がスムーズに検査できると思います。検査着やバスタオルの用意もありますので、必ずしもワンピースがダメなわけではありません。
可能です。豊胸手術の内容によりマンモグラフィが可能な場合と出来ない場合があります。マンモグラフィを受ける予定のある方は、検査の際に技師にお申し出ください。
乳腺エコーは豊胸手術の内容にかかわらず検査が可能です。
乳がん検診の検査方法によって、放射線被ばくのある検査とない検査があります。
乳腺エコーは放射線被ばくがありませんが、乳がんの初期に発生する石灰化を見つけられないというデメリットがあります。
マンモグラフィの検査は放射線被ばくを伴いますが、一回の検査に対する被ばくが「飛行機でアメリカまで往復する」のと同程度です。40歳の方が2年間隔のマンモグラフィを実施した場合、利益リスク比はおよそ13です。
これは、検診を受けない場合に比べて13倍のメリットがあるということです。この値は年齢が高くなるにつれて大きくなり、50歳ではおよそ50です。このことから、放射線のリスクは検診を受けないリスクと比べると小さいことが分かります。
マンモグラフィ対象の年齢の方は、検査を正しく行うことが重要です。対象外の年齢の方については、リスクと利益が同程度のため乳腺エコーの検査単独の検診をおすすめします。
市町村のがん検診の検査項目に関する条件が
となっており、継続的な検診が重要なため、あまりに体に負担がかかる検査は検診には用いません。
マンモグラフィでは、病気があった場合に見つかりやすくするため、乳房を均一に伸ばして撮影します。この時の痛みは、「①月経前をさける」「②体の力を抜いてまっすぐ立つ」の2点で軽減できます。痛みについて不安のある方は、サポートしますので検査時に技師にお申し出ください。